【高額な移籍金でアストン・ヴィラへ!】Ian Maatsen

※2024年9月30日、記事を更新しました。

アカデミー出身の左サイドバックとして期待されながら、最終的に3750万ポンドという高額な移籍金でアストン・ヴィラへ売却したIan Maatsenについてまとめていきます。

2024年夏に補強し、早くも「大当たり補強!」と評判の高いRenato Veigaについてもまとめています。
併せてご覧ください。

目次

Ian Maatsenのこれまで

Chelseaでのラストシーズンとなる2023/24シーズンを迎えるまでをまとめていきます。

アカデミー入団まで

Maatsenは、2002年3月10日生まれの21歳(2023年10月時点)で、オランダ南西部のフラールディンゲン出身です。
7歳の時にフェイエノールトの下部組織に入団、11歳の時にスパルタ・ロッテルダムに移籍、13歳の時にPSVへ移籍するなど、オランダの名門クラブの下部組織を転々としました。
そして2018年、16歳の時に渡英し、Chelseaの下部組織に入団しました

アカデミー時代の活躍

2019/20シーズンは、アカデミーの試合合計で23試合に出場し、1ゴールを獲得しました。
その唯一のゴールは2020年2月10日、ユースカップ5回戦のウルブズ戦。この試合は7-0で勝利しました。

トップチームデビュー

2019年3月に、初めてプロ契約を締結しました。
2019年9月25日、17歳のときにEFLカップのグリムズビータウン戦でトップチームデビューを果たし、24分間プレーしました。この試合は7-1で勝利しました。

当時のことを、2023年9月のインタビューでMaatsenが次のように語っています。

Maatsen

あの瞬間は本当にあっという間だった。このクラブでプレーしたいという思いが頭の中にあった。あの年齢ではまだ準備ができていなかったのかもしれない。だからもっと上達したいと思ったんだ。

自分がこのクラブでプレーできることを最高のレベルで示したかったし、それをできたと思う。

(Chelsea.com)


そして2020年3月10日、18歳の誕生日であるこの日に、2024年までの契約延長を発表しました
現在の契約はこの時のもので、報道によると契約に1年間の延長オプションが含まれていたことから、チームがこれを行使して、現在は2025年夏までの契約期間となっています。
Chelseaは新契約をオファーしているようですが、まだ合意には至っていません。

(※2024年1月13日更新)
2024年1月12日に2026年までの契約延長が発表され、同時にドルトムントへのローン移籍が決定しました。

チャールトンにレンタル移籍

2020年10月13日、シーズン終了までイングランド3部のチャールトン・アスレチックにレンタル移籍しました。
リーグ戦、カップ戦合計で35試合に出場。サポーターから愛される存在となりました。
このシーズンは主に右ウィングとして起用されました
2021年4月21日、ドンカスター・ローヴァーズ戦で唯一のゴールを獲得しました。

コヴェントリー・シティにレンタル移籍

2021年7月30日、シーズン終了までイングランド2部のコヴェントリー・シティにレンタル移籍しました。
シーズン当初は左サイドバックとして起用されていたものの、シーズン後半は前線での起用が増えました
リーグ戦、カップ戦合計で41試合に出場し、3ゴールを獲得しました。

バーンリーにレンタル移籍

2022年7月16日、シーズン終了までイングランド2部のバーンリーにレンタル移籍しました。
バーンリーは前年にプレミアリーグから降格したばかりでした。
リーグ戦、カップ戦合計で42試合に出場し、4ゴールを獲得しました。

当時複数のオファーがあった中でバーンリーを選んだことについて、2023年9月のインタビューで次のように語っています。

Maatsen

他のところに行くこともできたけど、チャンピオンシップでもう1年、クオリティが高く、さまざまな期待に応えてくれるチームでやりたかったんだ。彼らにとっては、プレミアリーグに直行するのは大きなことで、違ったプレッシャーがあった。

期待やメディアのプレッシャーなど、難しい状況に身を置きたかったんだ。

(Chelsea.comのコメントを一部抜粋し、掲載)



この年のバーンリーはシーズンの大半で首位をキープし、Maatsenもチームの中心的な存在としてプレーしました。
リーグ戦では4ゴール6アシストを記録するなど活躍し、左サイドバックとして、チャンピオンシップのチーム・オブ・ザ・シーズンに選出されました

この素晴らしいシーズンを終えて、Maatsenは次のように語っています。

Maatsen

今シーズンは本当に特別なシーズンで、素晴らしいシーズンでもあったと思う。コンパニがチームの監督になって本当にワクワクした。初めてクラブに行ったときからすぐに家族のような感覚になったんだ。お互いに切磋琢磨し、ピッチの中でも外でも、お互いのことをどんどん知っていくことができた。これ以上望むことはない。来シーズンも同じように過ごしたい。

トップレベルでは初めてのトロフィーだった。若い世代では何度も優勝したけれど、今回の優勝は本当に特別だった。スタジアムは満員で、観客は自分たちの名前を叫び、トロフィーを持ってバスに乗り込み、街中のバーンリーサポーターが叫び、拍手しているのを見ていた。あの瞬間は一生忘れないだろうから、本当に良かったよ。

(Chelsea.comのコメントを一部抜粋し、掲載)

バーンリーで得た最も重要なものは何か、という問いに対して

Maatsen

選手として、人として成長したこと、常に真摯にトレーニングに臨んでパフォーマンスの一貫性を保つこと、そして他のコーチやチームメイトなど周りの人たち、クラブの人たちから学んだこととかだね。人間として夢を持ち、そのために毎日努力する。悪いことがあっても、自分の思い通りにならないことがあっても、いつも通り何事にも慌てないこと。毎日、最高の自分であろうとすることだね。

(Chelsea.com)

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他チームにレンタルしていた3年間について

2023年9月のインタビューでMaatsenが次のように語っています。

Maatsen

Chelseaでプレーするにはまだ時期尚早だったけど、他のクラブでプレーすることによって上達し、より適応し、ゲームについてより多くを学ぶ機会となった。自分はそうしてきたし、この3年間は本当にうまくいった。

最初の頃から今に至るまで、自分のプレーはもちろん、ピッチの外でも多くのことを改善してきた。より成熟し、ピッチ内外でより良い選択ができるようになったし、自分自身から何を受け入れたいのか、何が基準なのかもよくわかるようになった。

(Chelsea.com)

Chelseaのユース育成とリクルートの責任者であるJim Fraserは、Maatsenについて次のように語っています。

Jim

マートセンは当初からピッチのあちこちで輝きを放っていた。

Ianは、U-15で初めて代表に選ばれたとき、守備的ミッドフィルダーとしてプレーしていた。Chelseaは左サイドバックを探していたけど、彼を追い続けたところ、実際に代表チームではセンターバック、時には左サイドバックとしてもプレーしていた。彼はマルチな才能の持ち主だと感じていた。だからクラブに対して、「守備的ミッドフィルダー、左サイドバック、左ウイングバックをこなし、攻撃的ミッドフィルダーの経験もある選手を見つけた 」と自信をもって言えたんだ。

彼がここでセンターバックをやるとは、イングランドのゲームの力学から想像していなかっただろう。だけど、彼が3バックの左サイドでプレーできることはチームにとって本当に大きなことだった。
彼は今、3度のレンタル移籍を経験し、プロの試合では複数のポジションをこなして120試合以上に出場している。私たちが最初に彼を14歳で見つけたとき、彼はすでにいろんな役割を担っていたし、今ではトップチームで10番やウイングとしてプレーしている。彼がいかに才能あるサッカー選手であるかを示していると思う。

(Chelsea.com)

代表での活躍

2017年にオランダU-15代表に選ばれて以降、各年代代表に選出されています。
2019年には、U-17ワールドカップに出場し、準決勝でPK戦の末メキシコに敗れました。
2023年6月には、EURO U-21にオランダ代表として出場しましたが、0勝3分0敗でグループリーグ敗退となりました。

Ian Maatsenの2023/24シーズン

Ian Maatsenにとって、Chelseaでのラストシーズンとなった2023/24シーズンについてまとめていきます。

プレシーズンで大活躍

Maatsenはプレシーズンのアメリカ遠征メンバーに選ばれ、最初の3試合にスタメン出場しました。
Pochettino新体制となった初戦のレクサム戦では、左ウィングとして出場し、前半のみのプレーながら2ゴールをゲット

Maatsen

あの瞬間は、たとえそれが親善試合であり、プレシーズンであったとしても、自分にとってはホッとしたようなものだった。16歳の少年として異国にひとりで来て、新しい言語を学び、新しい友人やチームメイトを作った。だからあの瞬間は…..自分自身を誇りに思ったね。

(Chelsea.com)


ブライトン戦でも左ウィング、ニューカッスル戦では右ウィングとして、いずれも攻撃的なポジションで起用されました。

この時点で、Pochettinoは自身の構想にMaatsenが入っていることを明言しています。

Pochettino

彼にとても満足している。彼はいろいろなポジションでプレーできる選手だ。彼はクオリティがあり、ゲームを理解していてとてもクレバーな選手だ。

今のところ、彼は私のプランに入っているよ。彼の姿勢、献身性、そしてゲームへの理解度の高さを高く評価している。

彼はいろいろなポジションで使える選手だし、それはチームにとってもコーチングスタッフにとってもいいことだ。このような選手がいることは常に良いことだ。

(Chelsea.com)

この時点で、Maatsenも前向きで、チームに対して献身的なコメントを発言しています。

Maatsen

良い感じだよ。いい天気だし、いいツアーだ。新しい監督、たくさんのハードなトレーニング。新しい選手もたくさんいるけど、いいグループだ。みんなまだお互いに慣れていないけど、楽しんでいる。

いつもとは違うけど、とても気に入っているよ。(フルバックをやっていたから)そのポジションは今でもプレーできるしね。チームのニーズに適応して貢献するのが一番大事なことだよ。

レクサム戦でのゴールは素晴らしいスタートで、少し自信がついた。でも、常に次のステップのことを考えているし、ピッチでのパフォーマンスでチームを助けるために、もっと自分に何ができるかを考えているんだ。

毎日一生懸命トレーニングすることに集中している。
もし監督から出場機会を与えられたら、自分のベストを尽くし、ピッチ上で自分の能力を見せようと思っている。今のところ、いい感じだよ。

(Chelsea.com)

その後のフラム戦とドルトムント戦では、左ウィングにNkunku、右ウィングにSterlingを起用し、Maatsenは途中から出場しています。

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シーズン序盤、出場機会に恵まれない

シーズン開幕戦のリヴァプール戦では81分から途中出場しました。
次節のウェストハム戦ではベンチ入りするも、出番はありませんでした。
3節のルートンタウン戦ではチームが快勝するも、出番は86分からの途中出場。
EFLカップのウィンブルドン戦で、ようやく3-4-2-1の右ウィングバックとしてフル出場しました。

このようにシーズンが始まってから出場機会に恵まれていないMaatsen。
今夏の移籍市場が閉まる直前に、古巣のバーンリーが買取義務付きのローン移籍でChelseaとクラブ間合意に達したものの、Maatsen本人が移籍を拒否したという報道もありました

その後の2023年9月のインタビューでは、今シーズンについて次のように語っています。

Maatsen

新しいメンバーたちとの新しいスタートとなる。クラブにとっても、自分たち若い選手にとっても、Chelseaを再び最高レベルに引き上げ、トロフィーを獲得し、チャンピオンズリーグに出場するといった高い目標を掲げるのは良いことだ。

チームには多くの高い能力を持った選手たちがいる。自分が知る限り、これまでのChelseaで最も若いチームかもしれないし、健全な競争があるのは本当に良いことだ。

みんな競争しているし、準備はできている。自分はただ、正しいマインドセットで毎日自分の基準を高く設定し、決してそれを下げないようにするだけだ。

もちろん、完璧な人間なんていないから、難しい日もあるだろう。でもそんなときでも、いつもと同じことをするよう努力していきたい。

(Chelsea.com)

2024年1月、ドルトムントへローン移籍

2024年1月12日、Ian Maatsenがドルトムントへローン移籍しました。
背番号は22に決まりました。

Maatsen

ボルシア・ドルトムントは私を見つけようと懸命に努力してくれた。
僕はBVBとそのファンを長い間フォローしていて、2022年秋にはマンチェスターで行われたチャンピオンズリーグの試合を生観戦したんだ。

(bvb.deから翻訳して引用)

Romano

@RNBVBによると、ボルシア・ドルトムントのケール監督は、
「Ian MaatsenとChelseaの契約は純粋なローンのみであり、オプションはない。オプションについては合意できなかった。」と語ったようです。

(@FabrizioRomanoのXを翻訳して引用)

これらの報道によると、買取義務や、固定の移籍金で買い取ることができるオプションなどはなく、2024年6月にはChelseaに帰還するようです。
ただし、Chelseaとの新契約には契約解除条項が含まれていました。

ドルトムントに移籍したMaatsenはレギュラーの座を掴み、リーグ戦16試合で2ゴール2アシストの活躍。
そしてチャンピオンズリーグでは、ベスト16から決勝までの7試合すべてに左サイドバックとしてフル出場しました

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代表での活躍状況

2023年9月にオランダのフル代表に初選出されたほか、EURO2024メンバーにも選ばれていますが、出場はありませんでした。

アストン・ヴィラに完全移籍

ドルトムントでしっかり結果を残したIan Maatsenは、2024年夏の移籍期間中にアストン・ヴィラへと完全移籍しました。
報道によると、移籍金は3,750万ポンドで、2030年までの6年契約となっています

Maatsenの契約解除金は3,500万ポンドだったようですが、ドルトムントは2,500万ユーロのオファーしか出すことができず、契約解除金以上の移籍金を支払ったアストン・ヴィラへの移籍となりました。

同時期に、アストン・ヴィラからOmari Kellymanが1900万ポンドでChelseaに加入しています。
あくまで別取引ではありますが、トレード移籍とも見られており、互いに高額な移籍金での移籍が実現しました。

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まとめ

Ian Maatsenについてまとめました。
ざっくりまとめると、次のとおりです。

まとめ
  • 16歳でChelseaに移籍してからは、下部組織やローン先で出場機会に困ることはなかったが、Chelseaのトップチームで出場機会を得ることはできなかった。
  • ローン先や、プレシーズンでの活躍を見ればポテンシャルは十分。
  • ドルトムントで結果を残した後、高額な移籍金でアストンヴィラへ完全移籍となった。

Pochettino体制では、Chilwellがケガしていた中で、CucurellaやColwillを左サイドバックとして起用しました。
監督が違えばMaatsenがレギュラーとなっていた可能性もありますが、これもプロの世界の厳しさでしょう。

いろいろな事情も加味してはいますが、まだChelseaでほとんど出場していないにもかかわらず、アカデミー出身選手の売却で、市場価値以上の高額な移籍金を得ることができました
高額な移籍金を残してくれたMaatsenに感謝しつつ、今後のキャリアの成功を祈りましょう。

come on Chelsea!!!

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