【慣れ親しんだクラブから覚悟の移籍】Kiernan Dewsbury-Hall

2024年夏にChelsea(チェルシー)に加入し、主に2ボランチのバックアップとして活躍しているKiernan Dewsbury-Hall(キアナン・デューズバリー=ホール。以下、「KDH」)についてまとめています。

以前にはRenato Veiga(レナト・ヴェイガ)も紹介していますので、ぜひご覧ください。

目次

KDH(キアナン・デューズバリー=ホール)のこれまで

KDH(キアナン・デューズバリー=ホール)のこれまでをまとめていきます。

アカデミー時代

KDHは、1998年9月6日、イングランドのレスターシャー州シェップシェッドに生まれました。
2006年、8歳の時にレスターのユースチームに入団し、2017年6月にレスターとプロ契約を結びました。
2019年にはユースチーム内で、年間最優秀選手に選ばれました。

2020年1月、21歳のときにFAカップでプロデビュー

2020年1月25日、FAカップ4回戦のブレントフォード戦でトップチームデビューを果たします
チームは前半4分にIheanacho(イヘアナチョ)が先制ゴールを獲得し、そのまま1点リードをした状態で68分に交代出場しました。
チームはリードを守り切り、0-1で勝利しました。

そのわずか二日後、KDHはシーズン終了までの約半年間、3部のブラックプールへローン移籍することが決まりました。

ブラックプールにローン移籍

1月27日にブラックプールへのローン移籍が決まったKDHですが、その翌日のウィコム・ワンダラーズ戦で後半から途中出場し、すぐにデビューを果たします。
2点ビハインドの状態で登場し、86分にKDHのゴールで1点差に迫るも、チームは惜しくも2-1で敗れました。
シーズン途中にローン移籍したKDHですが、CMFやDMFとして先発出場し、リーグ戦10試合で4ゴール1アシストとしっかり結果を残しました

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新たな4年契約、そしてルートンへローン移籍

ローンバックしたKDHは、20/21シーズンの当初はチームに残り、カラバオカップ3回戦のアーセナル戦に出場するなどしました。
2020年10月16日、チームとKDHは新たな4年契約を結び、同時にシーズン終了まで2部のルートンにローン移籍することが発表されました。
2020年12月29日、ブリストルシティ戦で移籍後初ゴールを決めるなど、リーグ戦とカップ戦で40試合3ゴール6アシストとしっかり結果を残しました

21/22シーズン、遂にレスターで構想入り

ローン移籍先で結果を残したKDHは、21/22シーズン、幼少期から過ごしてきたクラブで遂に構想に入り、ローン移籍することなく、トップチームで戦っていくことになります。
監督は、4年目を迎えるBrendan Rodgers(ブレンダン・ロジャーズ)でした。
2021年8月28日、ノリッジ戦でプレミアリーグデビューを果たしました
チームは1-2とリードした場面で、86分、Maddison(マディソン)との交代投入でした。
そのままチームは1-2で勝利しました。

2021年9月30日には、UEFAヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ第2節、レギア・ワルシャワ戦に先発出場し、初めて欧州の舞台に立ちました。
2021年12月10日、ELのグループステージ突破がかかった最終節でナポリと対戦し、一時同点となるレスターでの初ゴールを決めましたが、チームは惜しくも3-2で敗れ、グループ3位となってカンファレンスリーグ(ECL)に回ることになりました。
2022年4月10日、クリスタルパレス戦でプレミアリーグ初ゴールを決めました

このシーズン、前半は新加入選手が積極的に起用されたことで出場時間が限られましたが、試合終盤まで落ちない豊富な運動量を武器に替えの利かない選手となっていきました。
最終的に、リーグ戦28試合1ゴール2アシスト、ELで4試合1ゴール、ECLで7試合1ゴール、国内カップで4試合1アシストと活躍し、チーム内の年間最優秀若手選手賞と、選手が選ぶ年間最優秀選手賞をダブル受賞しました

そして2022年6月24日、新シーズンを前にクラブとの契約を2027年まで延長しました。

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22/23シーズン、チームがまさかの2部降格

22/23シーズン、ロジャーズ体制5年目で迎えたシーズンでした。
絶対的守護神として君臨したKasper Schmeichel(カスパー・シュマイケル)がニースへ移籍し、Wesley Fofana(ウェズレイ・フォファナ)は夏の移籍市場最終日にチェルシーに移籍しました。
開幕戦で引き分けて以降リーグ戦6連敗を喫するなど大不振に陥り、2023年4月にロジャーズを解任するも、残留争いは最終節までもつれ、奇跡のプレミアリーグ優勝からわずか7年での2部降格が決定しました。
19/20シーズンと20/21シーズンは5位、21/22シーズンは8位だっただけに、まさかの2部降格となりました。

KDHはリーグ戦31試合2ゴール2アシスト、カップ戦は3試合に出場するなど、主力として活躍しました
多くの主力選手がチームを離れる中で、KDHは残留を表明しました

23/24シーズン、Maresca体制で躍進

在籍選手との契約延長交渉が難航し、多くの選手が契約切れとなって退団したほか、経費削減のために多くの主力選手を放出することになりました。
新監督には、2021年にパルマの監督を務めた後、マンチェスターシティのアシスタントに戻っていたEnzo Maresca(エンツォ・マレスカ)を招聘しました
10年ぶりにチャンピオンシップの舞台で戦うことになったレスターは、公式戦32試合時点で25勝3分4敗となり、2位リーズと12ポイント差をつけて首位を独走しました。
その後は大きく失速し、一時3位に転落しながらも、最終節を残してチャンピオンシップ優勝を決めました。

KDHは、リーグ戦44試合に出場して12ゴール14アシストと、2部ながらキャリアハイの成績を残しました。
カップ戦も5試合1アシストを記録し、その1アシストはFAカップ準々決勝のチェルシー戦でのものでした
KDHはリーグベストイレブンと、チーム内の年間最優秀選手賞を獲得しました。

チェルシーへの移籍が決定

2024年6月3日、Marescaがチェルシーの新監督に就任し、7月2日、KDHもチェルシーに完全移籍することが発表されました
契約期間は1年間の追加オプションができる5年、移籍金は3,540万ユーロと報道されました

前年にMarescaの下で主力として活躍したKDHの獲得は、戦術的なサッカーを行うMarescaにとって是が非でも欲しい選手だったことでしょう。

KDHの背番号はレスター時代と同じ、「22」を着用することが決まりました。

代表での活躍

これまで各代表への招集歴はありません。

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KDHの2024/25シーズン

KDHの2024/25シーズンについてまとめていきます。
この項目は随時更新します。

リーグ開幕戦で早速デビュー

リーグ開幕戦となったシティ戦で、チームは前半に失点し、1点ビハインドの67分の状況でLavia(ラヴィア)に代わってKDHが投入され、移籍後公式戦初出場となりました。
しかしこの試合、期待された攻撃に「違い」を見せるようなプレーはできず、84分に追加点を奪われて敗戦しました。

セルヴェットとの2試合、バロー戦でフル出場

カンファレンスリーグプレーオフ決勝、セルヴェットとの第1戦目にチェルシー移籍後初めてスタメン出場しました。
この試合では、Marc Guiu(マルク・ギウ)があと一歩のところでゴールにならなかった決定的なパスを出していたり、Nkunku(エンクンク)がPKを獲得するきっかけとなった裏抜けパスを出していたりと、合計3度のチャンスメイクを記録しています

セルヴェットとの2試合目。
チームとして多くのチャンスを作りながらゴールがなかなか奪えず、2失点したことで合計スコアでギリギリプレーオフ突破を決めた試合でした。
その「多くのチャンス」にKDHは絡めませんでした。
終盤にJackson(ジャクソン)へ出した絶妙なパスは、かなり際どい判定でしたがオフサイドとなり、試合を決定づけるアシストになるはずだったものが幻となったことも、KDHにとって不運でした

リーグ戦では出場時間が大きく減った中で迎えた、カラバオカップのバロー戦でした。
この日も2ボランチの一角としてフル出場しました。
惜しいシュートが一本あったものの、キーパーのナイスセーブに弾かれました。
それ以外にも3本のシュートを放ったものの、枠には飛びませんでした。

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ECL初戦で待望の初ゴール!ハイパフォーマンスを披露!

プレミアリーグのブライトン戦ではベンチ外となり、危機感を持った中で臨んだ試合だったことでしょう。
バロー戦と同様、スタメン全員を入れ替えた「Bチーム」のボランチとして、Casadei(カサディ)と組んでスタメン出場しました。
この日左ウィングを務めたMudryk(ムドリク)は、スピードを活かして積極的に裏抜けを試みており、左サイドバックのRenato Veiga(レナト・ヴェイガ)やKDHからの絶妙な裏抜けパスが何度も供給され、序盤からチャンスが作られていました。
先制点となったシーンは、共に右にシフトしていたKDHからMudrykへのパスが通り、MudrykがファーサイドのVeigaに見事なクロスを送って生まれたゴールでした

更に3-1とリードした場面で、Badiashire(バディアシル)からFelix(フェリックス)への素晴らしいパスが通り、裏抜けを狙うNkunku(エンクンク)へラストパス。ディフェンスのクリアボールを、走りこんでいたKDHが流し込み、待望の移籍後初ゴールが生まれました
これまで批判もあったKDHは遂に結果を残すことができ、喜びを爆発させました。
まるで「見たか。このゴールを脳裏に刻め。」とでも言うかのようなゴールパフォーマンスに、一気にサポーターの心を掴みました。

チームは4-2で勝利し、見事カンファレンスリーグ初戦を勝利で終えました。
KDHは2ゴールに絡む見事な活躍を見せました。

KDH

とてもうれしいよ。
クラブに入団して以来、自分の実力をみんなに見せる瞬間を待ち望んでいた。今夜それが実現できて嬉しいね。
ゴールを決めた時の感動は忘れられない。でも、チームの選手をあれだけ入れ替えた中で試合に勝てたのは、チーム全員の功績だ。
この夜のことは忘れられない。

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ここまでのスタッツ(2024年10月5日時点)

2024/25シーズンのここまでのスタッツです。
随時更新していきます。

プレミアリーグ

出場試合6試合中
3試合
ゴール0
アシスト0
出場時間44分
スタメン出場0
総タッチ数43
総パス数37
パス成功率
(ショート)
82%
パス成功率
(ロング)
33%
キーパス1
成功したクロス0
タックル0回中
0回成功
クリア1
インターセプト1
デュエル4回中
2回勝利
ブロック0
警告0
退場0

EFLカップ

出場試合1試合中
1試合
ゴール0
アシスト0
出場時間90分
スタメン出場1
総タッチ数49
総パス数40
パス成功率
(ショート)
90%
パス成功率
(ロング)
100%
キーパス0
成功したクロス0
タックル0回中
0回成功
クリア0
インターセプト0
デュエル7回中
1回勝利
ブロック0
警告0
退場0

カンファレンスリーグ(本戦)

出場試合1試合中
1試合
ゴール1
アシスト0
出場時間90分
スタメン出場1
総タッチ数78
総パス数67
パス成功率
(ショート)
92%
パス成功率
(ロング)
100%
キーパス1
成功したクロス0
タックル1回中
1回成功
クリア0
インターセプト1
デュエル8回中
6回勝利
ブロック0
警告0
退場0

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まとめ

KDHについてまとめました。
ざっくりまとめると、次のとおりです。

まとめ
  • レスターのアカデミーで育ち、レスターでしっかりと結果を残した上で、満を持してのチェルシー移籍。
  • アシストなどの記録は少ないものの、PKにつながるパスや幻のアシストなど、実はフィットしつつあった。
  • 遂に待望の初ゴール。まずはAチームの交代要員として入っていけるか。

なかなか結果が出ず、退団選手とも比較されて批判の対象となっていたKDH。
確かに試合中の印象が少ないこともありましたが、実は決定的なパスを何度も供給していました。
そして、結果が出ていない試合でも常に良いポジションにいて、いつそれが結果に繋がっていてもおかしくないと感じるものがありました

そんな中で遂に生まれた初ゴール。喜びを爆発させる姿に、ファンの心を鷲掴みにしました
慣れ親しみ、思い入れのあるレスターを離れてのビッグクラブ移籍は、相当な覚悟があってのことなのは間違いありません
KDHがチェルシーにとって欠かせない存在になる日を期待しましょう。

come on Chelsea!!!

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