ケガの多いReece James(リース・ジェームス)のバックアップに留まらず、Maresca(マレスカ)体制となったChelsea(チェルシー)で偽サイドバックとしてチームの欠かせない存在になりつつあるMalo Gusto(マロ・ギュスト)についてまとめます。
もう一人の期待の若手として、Renato Veiga(レナト・ヴェイガ)も紹介していますので、ぜひご覧ください。
Malo Gusto(マロ・ギュスト)のこれまで
Malo Gustoのこれまでをまとめていきます。
アカデミー時代
Gustoは、フランスのリヨン東部に位置し、現在のリヨンの本拠地であるパルク・オリンピック・リヨンのすぐ近くに生まれました。
Gustoがサッカーを始めたのは10歳くらいの頃で、欧州の選手にしては遅いものでした。
それまでは父親の影響でラグビーや陸上競技をしていましたが、本人の意思でプロサッカー選手を目指すことを選びました。
2つのクラブを渡り歩き、その後14歳になる前にリヨンの下部組織に入団しました。
Gustoは16歳までをミッドフィルダーとしてプレーし、ロナウジーニョやネイマールらのプレーからインスピレーションを得ていました。
リヨンのU-17チームのレギュラー選手が負傷したことをきっかけに右サイドバックに転向しており、転向してからまだ4年しか経っていないことになります。
幼少期について、Gustoは次のように語っています。
正直に言うと、若い頃は父と一緒にチェルシーの試合をよく見ていたんだ。だから、今ここにいることができてとてもうれしい。素晴らしいよ。
チェルシーにはたくさんの思い出がある。
ドログバ時代は子供の頃の僕に大きな影響を与えたし、2021年のチャンピオンズリーグの優勝は印象に残っているよ。
チェルシーが本当にビッグクラブだと常々言ってきたけど、バルセロナとのビッグマッチ、特に2012年の有名な試合を観たときのことを思い出すね。
チェルシーが今後もビッグクラブであり続けることを願うよ。
(chelseafc.comから引用)
トップチームデビュー
Gustoは17歳となり、2020年12月にトップチームとプロ契約を締結しました。
そして2021年1月24日、サンテティエンヌとのダービーマッチでプロデビューを果たしました。
短い時間のプレーでしたが、このシーズンの終了後に2024年までの新契約を締結しました。
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2021-22シーズンにブレイク
2021年夏のシーズン開幕前にPeter Bosz(ピーター・ボス)が新監督に就任すると、若手の有望株として積極的に起用されました。
チームキャプテンであるLeo Dubois(レオ・デュボア)とのポジション争いを完全に勝ち取ることはできませんでしたが、何度か印象に残る活躍を残し、リーグ戦では30試合、UEFAヨーロッパリーグに7試合出場しました。
2021年9月にはPSGと対戦し、左ウィングのNeymar(ネイマール)と対峙しました。
Gustoはスピードと粘り強さを活かし、試合の大部分でネイマールを黙らせることに成功しました。
最終的にはネイマールにPKを与えてしまいましたが、フランスのスポーツメディアはGustoを絶賛しました。
若いうちにネイマールと対戦できて本当に嬉しかったよ。
いつかそのチャンスを得られないかと、夢見ていたからね。
キャリアの早い段階でこのような経験ができたのは素晴らしいことだし、もっと続けたい、もっとやりたいと思ったね。
今ではそれができる自分の能力にとても自信を持っているし、これからも素晴らしいことを達成できると確信しているよ。
(chelseafc.comから引用)
2021-22シーズンのリヨンはヨーロッパリーグでベスト8に勝ち進んだものの、リーグ戦では8位に終わりました。
2022-23シーズンは負傷に悩まされるも、チェルシーへの移籍が決定
Gustoなどの若手を積極的に起用したPeter Boszですが、2022-23シーズンも続投となったものの、2022年10月に途中解任となりました。
そしてLaurent Blanc(ローラン・ブラン)が監督に就任したものの、チームは7位に終わり、彼もシーズン終了後に解任されることになります。
Gustoは、シーズン途中である2023年1月29日、チェルシーへの完全移籍することが発表されました。
契約期間は7年半、移籍金は3,000万ユーロと報道されました。
2022-23シーズンは、チェルシーからリヨンへのローン移籍という形で、シーズン終了後までリヨンでプレーすることも併せて発表されました。
しかしGustoは12月頃からハムストリングや臀部の負傷に悩まされ、特に2月から4月の間プレーすることができませんでした。
最終的にこの年は、リーグ戦で6試合、カップ戦で1試合の出場に留まりました。
リーグ開幕戦でReece Jamesが負傷。早速デビューすることに。
プレシーズン5試合に出場した後、シーズン開幕戦のリヴァプール戦で76分から途中出場し、プレミアリーグデビューとなりました。
これは、攻守に高いクオリティでプレーしていたReece James(リース・ジェームス)が再び負傷したことによるものでした。
リヨン時代にキャプテンとのポジション争いを経験していたGustoは、チェルシーでも実力で、Reece Jamesとのポジション争いに勝つつもりでいたことでしょう。
皆、リースのことを悲しんでいるよ。
彼が我々のキャプテンであることを忘れてはいけないし、チームにとってもクラブにとっても重要な存在だ。今は、彼の代わりを務め、自分がプレーできることを示さなければならない。
トップクラブと契約すると、ビッグネームの隣にいることが期待される。僕にはスキルと資質があることを理解しているし、それを伸ばすためにここにいる。
リヨンでも同様の状況だった。 Leo Dubois(レオ・デュボア)はキャプテンだった。だから僕にとって何も新しいことではないよ。僕は常にこういう状況から学んできた。このような競争があることは重要だ。
(chelseafc.comから引用)
チェルシーはプレシーズンで良い結果を残し、サポーターにとっては今シーズンへの大きな期待感を持って迎えた開幕戦でキャプテンを失うこととなりましたが、Gustoは地上戦デュエルで2回中2勝と安定したプレーを見せました。
多くの試合でMOM級の活躍
Reece Jamesが離脱となり、Gustoは多くの試合で、3バック時の右ウィングバック、もしくは4バック時の右サイドバックのレギュラーとしてプレーしました。
クロスの精度にバラつきはあるものの、スピードと粘り強さを活かした対人能力の高さで、相手左サイドの攻撃を無効化させる働きを見せ、更に3節のルートン戦では2アシストを記録しました。
ノッティンガムフォレスト戦、ボーンマス戦、アストン・ヴィラ戦と勝ちきれない中でもMOM級の活躍を見せていたGustoでしたが、そのアストン・ヴィラ戦で微妙な判定により一発退場となりました。
それまで出場機会のなかった本職が左サイドバックのCucurella(ククレジャ)を右サイドバックに起用すると、同じく対人能力の高いCucurellaもMOM級の活躍を見せることとなり、Gustoの出場機会は減少傾向となりました。
10月22日のアーセナル戦ではフル出場したものの、11月にはReece Jamesが復帰したことで途中出場を続けていましたが、11月13日のマンチェスターシティ戦を最後に負傷離脱しました。
12月11日のエヴァートン戦を最後にReece Jamesが再び長期離脱すると、12月17日のシェフィールドユナイテッド戦でGustoが復帰し、それ以降はフル稼働しました。
FAカップ準々決勝のレスター戦ではMOMを獲得し、準決勝のシティ戦にも出場したほか、カラバオカップ決勝のリヴァプール戦では120分間フル出場しましたが、惜しくも優勝を逃しました。
23/24シーズンは最終的に、リーグ戦27試合0ゴール6アシスト、カップ戦は10試合0ゴール3アシストでした。
代表での活躍
2018年にフランスU-16代表に選ばれて以降、各年代代表に選出されています。
U-16代表まではミッドフィルダーとして、U-17代表からはディフェンダーとして選出されています。
2021年9月にはU-19代表デビューし、そのわずか1か月後にはU-21代表に昇格しました。
2021年10月からはU-21EURO予選を戦っています。
チェルシー移籍後もフランスU-21代表の常連としてU-21EURO予選などを戦っていました。
しかし2023年10月、負傷したJules Koundeの代役としてA代表に初招集されました。
そして10月13日のEURO予選のオランダ戦で79分から途中出場し、念願のA代表デビューを飾りました。
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Malo Gusto(マロ・ギュスト)の2024/25シーズン
Malo Gustoの2024/25シーズンについてまとめていきます。
この項目は随時更新します。
偽サイドバックとして新たな可能性
24/25シーズンにMaresca体制となったチェルシーですが、守備時は4-2-3-1を採用しつつ、ビルドアップ時にはサイドバックのどちらかがボランチの位置に入り、3-2-4-1に可変します。
いわゆる偽サイドバックです。
この偽サイドバックは、ビルドアップ時に中盤の位置でパスワークに絡むための能力が必要です。
ビルドアップ時の中盤の推進力は増しますが、ボールロスト時に守備が手薄となることが弱点ではあり、実際ブライトン戦ではGustoが戻るのが遅くなり、三苫に突破を許す場面もありました。
プレシーズンではEURO2024に出場したCucurellaが不在で、Reece JamesとGustoを併用するために、Gustoが偽サイドバックの役割で左サイドバックとして起用されることもありました。
Reece Jamesも偽サイドバックでのプレーを試されましたが、純粋なサイドバックとしての能力が高すぎることもあり、偽サイドバックでの起用はもったいないようにも感じました。
Gusto出場時には、Gustoがファーストチョイスで偽サイドバックの役割を任されており、セカンドチョイスは今のところCucurellaでしょうか。
各所で高い能力を発揮するGustoが、Reece James復帰時にどのように起用されるのか楽しみですね。
ここまでのスタッツ(2024年10月5日時点)
2024/25シーズンのここまでのスタッツです。
随時更新していきます。
プレミアリーグ
出場試合 | 6試合中 4試合 |
ゴール | 0 |
アシスト | 0 |
出場時間 | 344分 |
スタメン出場 | 4 |
総タッチ数 | 230 |
総パス数 | 155 |
パス成功率 (ショート) | 88% |
パス成功率 (ロング) | 90% |
キーパス | 1 |
成功したクロス | 0 |
タックル | 13回中 8回成功 |
クリア | 9 |
インターセプト | 3 |
デュエル | 35回中 15回勝利 |
ブロック | 1 |
警告 | 1 |
退場 | 0 |
EFLカップ
出場試合 | 1試合中 1試合 |
ゴール | 0 |
アシスト | 1 |
出場時間 | 45分 |
スタメン出場 | 1 |
総タッチ数 | 53 |
総パス数 | 41 |
パス成功率 (ショート) | 98% |
パス成功率 (ロング) | 0% |
キーパス | 0 |
成功したクロス | 1 |
タックル | 1回中 1回成功 |
クリア | 0 |
インターセプト | 1 |
デュエル | 9回中 4回勝利 |
ブロック | 0 |
警告 | 0 |
退場 | 0 |
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まとめ
Malo Gusto(マロ・ギュスト)についてまとめました。
ざっくりまとめると、次のとおりです。
- 21歳ながらReece Jamesのバックアップに留まらず、偽サイドバックとしても欠かせない存在に。
- Reece Jamesの負傷離脱が多く、もはやレギュラーとして多くの試合に出場。
- 早くもフランスのA代表デビューを飾っており、このままワールドクラスの選手に育ってもらいたい。
23/24シーズンは緊急時にCucurella(ククレジャ)を右サイドバックに起用していましたが、今シーズンはGustoの負傷時にはFofana(フォファナ)やDisasi(ディサシ)が起用されています。
Reece Jamesが不在の間は、Gustoがファーストチョイスになることは間違いありません。
更には、プレシーズンのCucurella不在時に左サイドバックとして起用される場面もありました。
Reece Jamesが戻ってきた時に、ポジション争いがどのように繰り広げられるのか楽しみですね。
なんといっても、まだ21歳でこれだけのプレーを見せているGustoの今後には期待するしかなく、チェルシーでワールドクラスの選手に育っていくのを見届けたいものです。
come on Chelsea!!!